ヘンが自分のプライベートな感情をいくら露出しようが、その露出度は自分でコントロールできるのだから別にどうでもよい。問題は、スマダーのプライベートな感情の扱いである。ヘンは監督業だがスマダーは軍人だ。女性オンリーの軍隊でレスボフォビアに基づく嫌がらせが起こらないとも限らない。それに、スマダーもカメラで撮影されているのを承知で自分の感情を吐露しているのだからそのまま公開されても文句は言えない、などというのは映画ヤクザの屁理屈である。ひとの感情や状況判断はその都度変化するものだから(実際スマダーはカメラに向かって「カット」とつぶやいているシーンがある)。
撮影終了後のふたりがどうなったか知らないが、仮にスマダーと恋人関係になったとして、「これが私たちのなれそめだよ☆」なんていうだまくらかしフォローで納得させているとか、公開前にスマダーも試写を観て了承しているとかいう手順が踏まれているとしても、ふたりの関係や感情の流れが移り変わって、「あのときはOKしたけど、いまはもう嫌」となることだって大いにあり得る。
そういうわけでクマは、このふたりの心もよう的な映像を、「愛し合うって素敵なこと! なにも隠す必要はないし、恥ずべきことでもないわ!」っていうゲイフレンドリー初心者にありがちなお気楽目線では観られなかった。なんか胸騒ぎがする。でもラスカー監督の腹黒さ(決めつけ)はそんなに嫌いでもない。複雑。
ま、どのみち、ドキュメンタリー系に限らず、作家的な仕事をしている者は、「友だちをすべて失うかもしれない」とか「いつかだれかに刺されるかもしれない」という覚悟をつねに持っておいたほうがいいと思うよ。「ネタもほしいけど友だちも失いたくない」なんて眠たいこと言ってるヤツは、いつかきっと手痛いしっぺ返しを
なお、ニコニコ動画でこの作品全編がほぼ日本語字幕付きで観られる(ちなみにAQFFで上映されたものとは編集のヴァージョンが異なる)。ただし、ひとによっては不快に感じられるコメント多数。イスラエルの言語がわかるひとや英語字幕でOKなひとはコメント機能をオフって大丈夫だけど、日本語字幕が必要なひとは、字幕もコメントとしてアップされているので、そこらへんはアルカイック・スマイルで華麗にスルーしてほしいわけなんだ。
“「ネタもほしいけど友だちも失いたくない」なんて眠たいこと言ってるヤツは、いつかきっと手痛いしっぺ返しを食らうと思うんだ。”
(via thegrilledcheeseaspiration)








